借地借家
大家さんの勇気ある一歩
悪質な家賃債務保証業者による滞納家賃の回収問題が世間でも注目されてきたため、家賃回収の現場では、今まで以上に慎重な対応が求められることは言うまでもないでしょう。
確かに、相次ぐ敷引特約に関する無効判決や賃貸住宅更新料返還請求訴訟など(「更新料は高すぎなければ有効」との最高裁平成23年7月15日の初判断が下されましたが)昨今の大家さんを取り巻く環境は厳しいものとなっていますが、信頼関係の破壊があった場合には、法律上賃貸借契約を解除することができます。
しかし、現実には、長期にわたる家賃滞納のような、十分に信頼関係の破壊が認められる場合にも、放置されているケースが多々見受けられます。
「ちょっと、裁判までは…」と、抵抗のある大家さんの場合でも、弁護士名義の内容証明郵便の送付だけで、「裁判は勘弁だ」と、あっさり問題が解決するケースもあるのです。
また、当事務所では、借金問題のご相談は無料で行っておりますので、ご紹介いただければ、問題を抱えている賃借人のアフターフォローにも対応いたします。
土地建物の明け渡し
経済不況が長引いてくると、どうしても家賃の滞納問題が発生します。
借主が何か月も賃料を滞納して困っている、借主が部屋の中に家財道具を残して何か月も家賃を払わず行方不明になっている、その他にも、どうやら借主以外の人が住んでいるようだ、自分が所有する土地建物を不法に占拠している人がいるので出て行って欲しい、等々。
このようなお悩みを抱えておられる大家さんといえども、「借地借家法」という厚い法律の保護を受けている
賃借人の承諾なく、部屋の中の家財道具を片付け、新しい方に借りてもらうことは、
違法な行為であり、逆に、借主から損害賠償を請求される危険性すらあるのです。
私の親も大家をやっていますが、時々のメンテナンスや税金負担なども馬鹿になりません。家賃を長期滞納され、その上、弁護士にまで費用を払わなければならないのか!と、ご立腹の大家さんのお気持ちも分かりますが、
家賃滞納が長引けば、それだけ、
損害も拡大してしまいます。家賃の催促にも全く誠意が感じられないような借主や、のらりくらりと言い訳ばかりなのに金回りは悪くなさそうな借主が相手の場合はなおのこと、まずは、合法的に
一歩踏み出さなければ、この問題は解決に向かいません。
<明け渡しまでの流れ>
(1)ご相談
ご相談の内容が、賃貸借契約の信頼関係の破壊であると認められるケースに当たるか、個別に検討し、具体的な進め方やかかる費用をご説明します。
(2)物件の現地調査
ご相談の結果、受任となった時は、手始めに、現状を把握するにあたり、大家さんから事情をさらに詳しく伺い、登記簿をチェックし、必要に応じて現地に赴き、現況を調査します。
(3)内容証明による催告・交渉
裁判を起こすことなく、弁護士が話し合いや交渉を行うことで、
解決できるケースも多々あります。
まずは、
内容証明郵便によって、賃料の催告と賃貸借関係の解消を求める意思表示を後に裁判となった場合の
証拠として残した上で、話し合い、交渉を開始いたします。
(4)占有移転禁止の仮処分
話し合いが難航し、明け渡しの裁判に移行する際、ケースにもよりますが、借主が悪質な場合などは、あらかじめ、裁判所に
占有移転禁止の仮処分の申立てを行います。
この占有移転禁止の仮処分は、明け渡しの裁判手続きの間に、借主が別の第三者に占有を移してしまったら、第三者にはその明け渡し判決の効力が及ばず、
せっかくの勝訴判決が無意味になってしまうのを防止するため、前もって、明け渡しの裁判の効力が及ぶ
当事者を確定しておくための
保全手続きです。
悪質な賃借人の場合、
物件の明け渡しを妨害するために、わざと別の第三者(俗に占有屋と呼ばれています)に占有を移し、賃借人本人は滞納しているのに、また貸しの転貸料を得ているケースもあります。
占有屋は法外な立ち退き料を要求してくることもあり、占有移転禁止の仮処分のような
早期の対策が求められます。
占有移転禁止の仮処分の決定が出ると、
裁判所の執行官が当該借主の物件に赴き、占有移転禁止の仮処分の決定が出ている旨が記載された
告示書を物件に貼り付けることになります。その際、弁護士も立ち会わせていただきます。
このような占有移転禁止の仮処分決定の告示書を自分の住んでいる部屋に、裁判所の執行官(借主に抵抗されても耐え得るくらい、ガタイのいい武闘派の方が多いです)から貼られてしまったことの
心理的効果として、借主が降参して、
自ら退去してくれるというケースもあります。
(5)明け渡し訴訟
賃借人が居座り続け、話し合いや交渉に応じない、あるいは、そもそも賃借人が長期行方不明になっている場合などは、
明け渡しを求める訴訟を
裁判所に提起します。
その後、開かれる裁判の口頭弁論期日の中で、借主との間で、期日を定めた明け渡しをする旨の
和解が成立するケースもあります。
借主と話し合いによる決着がつかない場合や、借主が裁判所に出頭しない場合には、
裁判所から明け渡しを命ずる判決が
言い渡されます。(この明け渡しと
合わせて賃料請求訴訟を提起することも可能です)
(6)強制執行
明け渡しの勝訴判決を受けても、賃借人や占有者が開き直って、任意に明け渡さない、または、賃借人が行方不明になっている場合などは、この明け渡しを命ずる
判決に基づき、強制執行の申立てを行い、国家権力により強制的に立ち退かせることができます。
強制執行が終了すれば、部屋の中に
残された荷物も賃貸人側で合法的に処分することができ、
次の借主を入居させることができるようになります。